横浜フェニックス

連覇中の王者を決勝戦であと2人まで追い詰めたフェニックスの快進撃を支えたのはエース・保戸田なくして語れない。昨年は岩見の故障でほぼ一人で投げ抜いた。過去を振り返ってもこれほど試合を壊さない投手も珍しく、まだまだ衰えない球威と多彩な変化球で打者のタイミングを外す投球術は誰もが認める。試合中にリリースを調整して実行出来るほど野球センスの塊。見た目からは想像できない俊敏さと体力に目を疑うが、先発も体型もまず崩れないため、今年も完投ダイエットに見舞われそうだ。

二枚看板であるもう一人のエース・岩見は昨年1試合完投勝利を収めた直後に肩痛に見舞われ、まさかの戦線離脱。二枚しかいない投手陣にはかなり痛すぎたが、リハビリに励みまた過去最強二枚看板復活を願いたい。そんな投手事情にてこ入れをすべく、今年から永倉が新戦力として加わる。しかし実戦からブランクもある他、実力はまだ未知数のため、見極めながらの起用となりそうだ。一昨年前に1回無失点の事件を起こして容疑をかけられていた松木はまだ逮捕まで至っていないが、その疑いを晴らすべく昨年も1試合を無失点で切り抜け、2年間無失点(2回)の快挙を成し遂げ先発復帰を大きくアピール。この痺れる実績に唸りを上げた首脳陣は、還暦までに松木を先発ローテーションに戻す方針を固めた。

打撃陣は全体的には上向き傾向にある。まず上位には、昨年足の速さと転倒で何度も猛アピールをした平光、気づけば最高出塁率だった主将・山田で新たな1、2番コンビを組む方針。そして良くも悪くも目立ったのは安里。見知らぬ野球チームの門を叩いて新しい風を吹き起こした彼は、5年目にしてついに首位打者に輝き、リーグでも最多安打を獲得して結果を出した功績には脱帽だが、その一方で何を思ったのか、大事な準決勝の前日にライザップダイエットを敢行して当日控えを申し出るという余計な風まで巻き起こした彼の実績にもある意味頭が下がる。そして約300試合4番を務め昨年も2発放った梶原、昨年不振だったもののチーム屈指のパワーを持つ岩見でのクリーンアップは今年も不動のものとなりそうだ。そして後を打つ保戸田新井の寝坊コンビが今年も鍵を握りそう。保戸田は昨年リーグ本塁打王、チーム打点王に輝き復調気味。しかしスイング軌道が安定しないため、今年も率を残せるか注目。さらに新井は昨季シュアな打撃で実力の片鱗を見せるなど状態は上向き。元々実力を持つこの2人が中軸を脅かすくらい安定すればリーグでも退けを取らない強力打線になることは間違いない。下位打線は人間性と真逆に波の激しい岩崎、以前実績のあった飯野松木、依然実績のない秋山で締めくくる。それぞれが過去の栄光を再び取り戻すことが出来れば打線に隙がなくなるが、現実的でない話はやめるとしよう。

戦術として使いたい機動力は、唯一足の使えた仁尾(順)が手足の負傷で今シーズン離脱が何より痛い。右に出る者がいないわけではないが、一塁の終点を過ぎても止まらず脱線する快速平光、無数の警告灯が点きながらサインの信号無視して運転する安里急行がいる。この二人による人身事故でダイヤが乱れる不安要素もあるため、運行前点検は必要不可欠のようだ。

守備も特に内野にやや不安が出てきた。安定しているのは一塁手の山田のみで、三塁の梶原は送球難の気配、遊撃岩見は肩痛、離脱した仁尾二塁手の穴埋めといった課題をどう克服するか。安里岩崎にユーティリティプレイヤーとして起用する可能性も高く、その育成と起用法もポイントとなりそう。内野で唯一救いなのは寝坊コンビであり、かつグラウンドではバッテリーを組む保戸田新井二人の守備が堅いことか。保戸田の抜群のフィールディングと、やるときはやると周りから称されゴールデングラブを獲得した新井の守備はリーグでもトップクラス。だが、グラウンドに来るまでにチーム内でもう1試合が始まっているのは相変わらずで、二度寝で有名な新井の心配は、今まで揺るぎない寝坊男の保戸田が大寝坊男の新井を起こしに行く事件が起きるほど。日頃女房役の新井に感謝を口にする保戸田は会社でも先輩。もはや上下関係も何もあったものではない。

外野は全体的に動きや反応が鈍い。昨年成長を見せた平光や新加入の永倉、体力だけはある秋山に経験を積ませていく構想だが、技術よりもまずはポジショニング等、ランナーの進塁を1つでも減らすための工夫をしていきたい。

今年も昨年とほぼ同じメンバーではあるものの、前述の通り不安要素の方が多い。そのため起用方法はもちろんのこと、チーム内連携、飯野監督と山田主将を中心とした対話など、今年こそ変化が求められる。今シーズンから採用される新規格球にもどれだけ早く順応できるかも急務。強豪揃いの南日吉リーグに出遅れることなく“あと2人”を乗り越えたい。